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エアコンシステムと修理に関する概論。

エアコンが壊れている。

まーよくあることよくあること。文字にすると数文字。
だが、それだけでは、何がどうなってるか皆目見当がつかない。

  1. 風が出なくても
  2. 風が全開と停止しかなくなっても
  3. 風の方向切替ができなくなっても
  4. 外気導入/内気循環の切替ができなくなっても
  5. 温度調整が出来なくなっても
  6. 暖かくならなくても
  7. 冷たくならなくても

全て、エアコンこわれた!です。

で、これらがエアコンこわけた、の、大概的症状です。(これ以外もあるカモだけども。)
当該車は、いわゆる、7番です。

各々、困る場合は、相応の対処方法を考慮して、できるだけ工数を少なくして問題を取り除く努力をする。それが修理屋さんのお仕事です。あんま工数掛かると儲かるけど手間も多い、結果請求額も多い、やればやるほど、治す人も払うヒトも疲弊するという、因果な商売です。

さてさて・・・直さねばなるまい。日本の夏は暑いのでね。

1~5までは、メカニカル的というか、車内の電装品の問題なことが多いので、容疑者多数です。が、今回は棚上げします。

6は、大抵ヒーターバルブが動いてないとか、冷却水の管理が出来てなかった期間が長すぎて、ヒーターコアが詰まってるとか、そう言う辺りだと思います。あ、効き出すまで時間が掛かる場合はサーモスタット開きっぱなしか?(と、この時点になっても、まだ容疑者多数。)なんですが、これも今回棚上げします。

今回のお題は、7の、冷やす部分。そう、今回の大問題。
分かりやすく言えば、クーラーの部分です。

そう、クーラー。どうやって冷やしてるのか、一般的には皆目見当がつかない。
スイッチ入れれば冷えるモノだと思って、その構造や原理はシラナイ。知る必要もない。(そういう私もこの仕事に就くまでそう思ってた。考える必要がなかった。)

冷える理屈がわからない。だから、冷えない、その原因がわからない。
よって、冷えないという結果しか分からない。実はそこしか求めていない。

修理に出しても、なにがどうなってるかわからないから、説明されてもわからない。納品書見ても訳わからない。高い安いでしか判断が付かない。
で、大抵、クーラーの修理ってのは、高額になったり、また効かなくなってまた修理、的な、二度手間三度手間、再修理みたいなことになって、どこまで行っても納得できない。
ということになる。

結果、信用を失ったり、誰も信じれなくなったりして、堂々巡りが始まる。

理解が浅い上に、再三の修理になって揉めちゃう。それを避けたい、ヤだから、立派な整備屋さんやディーラーさんは、総取っ換えを勧める。そりゃエライコッチャになる。そりゃそうだ、最悪のパターンを想定しておかなきゃ、あとから揉める元だから。

で、オーナーさんはナニモシテナイうちから、メゲる。大抵原因を確定する前から金掛かるとメゲる。
メゲて車自体買い換えて貰えればそりゃ私共有り難いが、こちとら旧くても好きな車をお金掛かってでも直してでも乗りたい好事家が来る店なので、そうは問屋が卸さない。常軌を逸しない範囲なら、払うから治してねと言われる。

で、当該車、多分、メゲたかなんだか金かける気がなかったか、ガス補充で済ますだけで、テケトーなことばっかしで済ませていたらしく、多臓器疾患に陥っている。
なんで軽微なうちに直しておかなかったのか、そんなことは今になって手放したあとその車をどうずるかなんて、知ったこっちゃナイから、そりゃそうだろう。目先困らなければソレでヨシ、だったんだろうなぁ。

はさておき・・・

だから、多少なりとも大概的な知識があれば、それをご説明の上、ご理解いただけるか、納得しやすいだろうし、理解の範疇をカルーク越えたとしても、お任せできる信頼を得られるのではないか?
で、順を追ってその過程をご了承の上、トラブルシュートする覚悟をしていただけるのであれば、なんとかなる、できるかもしれない、ではないだろうか?
いきなし全取っ替えまではせんともえーんでないかい?まぁつい最近まで効いてた場合、ですが。
効かなくなって久しい、ガス漏れ看過して久しい、場合は、全取っ替え覚悟の上じゃないと直らない場合もありますけどね。

まぁそもそも、まだ現物に対峙してないうちからそれなんだから、机上の論理の段階でメゲ気味なんだからタチが悪い。でも、そりゃ総取っ替えすれば機能性能も確実に担保されるから、安心かつ確実。クレームにもならない。正しい方法。間違ってない。正攻法です。

でも机上の論理じゃどうしようもない、冷えないにはかわりがない。耐えられない。でも、正攻法じゃお金掛かりすぎてしゃーない、その堂々巡りには変わらない、なので、その辺りご了承いただける場合のみ、現物に対峙して、原因を確定して方策を練ろうとする。

その時点で、相手が”ガス”であるという問題がでてくる。
そう、ガスが入ってないと、プレッシャースイッチが破壊防止機能でOnにならず、動かない。動かないことには原因の確定のしようがない。

そう、クーラーのシステムは、構成部品全て概ね機能してないと、冷えない。
コンプレッサーが加圧液化したガスを、エクスパンションバルブ(オリフィスチューブ)で霧化して気化させて、その気化熱でエバポレーターを冷やす。この間の圧力は20バールを越える。タイヤ空気圧の10倍。エライコッチャ。で、エバポレーターが車内に送るべき空気を冷やす。用を為したガスは、リキッドタンクで濾過除湿、コンデンサーで冷却されて、再度役務に赴く。プレッシャースイッチがガス圧を監視してて、高すぎても低すぎても壊れるノデ、その場合動作をやめさせる。

このサイクルが概ね完璧に動作して、やっとこさっとこ”冷える”わけなんだから・・・
ましてや、動いてない状態では、何がイカンかなんて皆目見当が付かない

さて、ドコに何の問題が起こってるのか、何も手をつけず、机上で分かったら超能力者です。
あいにく僕らは超能力者じゃないので、現物を見る。机上の論理で直る部分なんか誰も困らないはずだから。

まず、目視で状況確認。ガスが漏れてる箇所は、ガスに含まれるコンプレッサーオイルや、添加剤等が付着して、埃が溜まって汚れてることが多い。漏れテーラが明白なのにガスを補充しても意味がないので、まずそこを換える等々は必須。
大抵エクスパンションバルブですかねぇ。いろんなとこのホースやパイプの継ぎ手に使ってるOリング(丸いゴムパッキン)かもしれない。
その時点で、換えるべき物が消費される。只じゃできない。

で、現況のガス圧を確認して、現在のガス量を推定して、不足しているのだったら、入れてみて動かしてみなきゃ、総合的な判断ができない。ここでも消耗品としてガスが消費される。

で、まずは動かしてみる。話はそれから。

入れてみて動けば、はーよかった、で、次のステップ。次の項はトバしてね。

ガス入れても、動かないとなると、またエラいことになる。
電気的なコマンド的な問題なら、コントローラーやプレッシャースイッチを疑ってみたりして、換えてみたりして、そいでも動かなくて、コンプレッサーがダメ?となったら、換えてみて動かしてみないと、他何が悪いか判断できない。新品コンプレッサーを奢るとなったら、リキッドタンクも換えておきたい。部品代その他交換の費用でクラッとする。

で、動いた。動かせた。であれば、それで、高圧と低圧の圧力変動、各パイプの温度等から、現況このクーラーシステムが抱えてる問題を推測する。場合によってはエクスパンションバルブ(オリフィスチューブ)を換える。この段になってリキッドタンクの機能低下・詰まりが発覚する場合もある。基本消耗品なので、10年とか使ってるとか、旧かったら換えたい。機能不全なら換えねばならない。旧い車で効かないとお嘆きの貴兄はトットと換えた方がイイ消耗品。換えずに嘆いても意味がない解決しない消耗品。

と同時に、コンデンサーのクーリングファンが正しく動作しているか。コンプレッサーがOnになってたら低速ででも廻って欲しい。コレが動作してなければ、ガスを冷却できないので、本来の性能が発揮できない。効かないエアコンになる。

で、その辺の機能が概ねよさげであれば、次は、なぜガスが減ったか減りつつあるか、の原因を追究する。

ガス漏れの痕跡を追跡する。
だが、相手はガス。しかも、1台あたり数百グラムしか使ってない。
どれくらいのペースで漏れるのか、どこまでを許容範囲とするか・・・

で、明白な漏れ箇所が確定できなければ・・・

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ガス漏れ検知剤(蛍光剤)をクーラーガスに添加して、漏れ箇所を突き止める。
注射器様なモノに入ってる蛍光黄色の薬剤を、手前の道具でクーラーガスに添加する。
で、上のメガネを掛けて、懐中電灯様のモノでクーラーのガスの流れる道程を照らしていく。漏れてる箇所が光るのでワカリヤスイ。わかったら、容赦なくその部分を換える。

はずなのだが、漏れが軽微だと、すぐに確定できない場合もある。(というか、殆ど。)
その場合は、またガス圧が落ちてプレッシャースイッチがクーラーの動作をさせないようになるまで、実用に供していただいて、生温かく見守る。

で、漏れの容疑者を探索するんです。

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他車の例で・・・数か月生温かく見守ったら、エクスパンションバルブが蛍光剤で真っ黄色になった。エクスパンションバルブ末期色。もう照らさずめがね掛けずとも明白。盛大に漏れとらーせますわな。換えねばならぬだなぁ。

漏れてる分には補充して効けばえーんでね?って説もある。軽微なら、数年保つならまだ一理ありそうなものだけども、クーラーガスにはオイルが混入されていて各部とコンプレッサーの潤滑を為している。補充のみでオイル切れを起こして、放置していればコンプレッサーは逝去する。
また、ガスラインに大気が混入、湿気を含んだりすると、リキッドタンクの寿命を極端に縮める。崩壊したリキッドタンク中身はガスラインに廻って、湿気を含んだガスとリキッドタンク内の活性炭が、エクスパンションバルブを詰まらせる。
そんな同時多発テロの可能性がある場合は、全取っ替えを考慮しておかねばならぬ。これが騙し騙しを繰り返した結果に陥る悲劇。

漏れてる場所が、わかりやすい場所アクセスしやすい場所なら、そりゃ換えてヨシなんだけども、それがダッシュボードの中の人だったりしたら・・・
ダッシュ盤(ダッシュボードの業界用語?)脱着かなぁ。。。
まだ、確定できればよい。潔くやるか諦めるか決めるだけだから。
昔、漏れがプレッシャースイッチ内部で、外に蛍光剤が出てこない。よって、それを確定するまでに、紆余曲折を繰り返したという案件もあった。そこに辿り着くまでに少なからずの役務と消耗品を出費が・・・(イガイタイナァ。)

という、途方もないあてどもない、ドッカラテをつけるべきなの?な工程、なんです。

そりゃ、安くナイよなぁ・・・乗りっぱなしで適宜維持してなきゃ同時多発テロ、なんです。

そういうもの、なんです。

だから、あんまし、”エアコン壊れた直したら高額だどっしぇー!”って狼狽えないでください。
高額には理由があるんですから。
って、まぁ、安価く直るなら、誰も狼狽しないですね、そうですね。

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5 Responses to “総括 | 同時多発テロの対策と収束・しょの3 | climatisation”

  1. rallye より:

    今月はないの?

    • Morita Eiichi より:

      すみませんすみません!
      「ヴィブルミノリテ」のことですよね?
      もろもろ事情によって遅れております。
      今回はパンダ4×4(セリエ2)を予定しております。
      もうしばらくお待ちくださいっ!

  2. シバッチRS より:

    エアコン内部の塗装が細かく剥がれて、風と一緒に細かい塵が噴出してしまう、
    という事例も。以前所有していたPanda CLXで見舞われました。

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