バッテリーに関する一考察、至る充電系。

割と、ローテク、なんです、車って。


車の電気関係の根幹を為すものが、バッテリー(電池)とオルタネーター(発電機)です。

エンジンの回転数を使ってオルタネーターが回ることにより、発電されます。発電された電気はエンジンの回転数等により一定ではないので、レギュレーターという部品を介して一定なものにして、その電気をバッテリーに蓄えて、12V以上の電圧で、車は動いています。

オルタネーター、レギュレーターは日々進化して、昨今の車はレギュレーターはIC化してオルタネーターに一体になってきています。

でも、やっぱり進化し切れていないモノ・・・バッテリーです。

バッテリー、文字通り、電池ですが、巷によくある乾電池とも、携帯電話やノートパソコンに使われていたりするニッケル水素やなんやら、みたいな高尚なものは車にはあんまし使われていません。昔ながらの湿式バッテリーです。たぶん耐久性と発生するべき電圧の関係、だと思いますが。

湿式バッテリーとは、ケースの中に希硫酸が満たされており、そのケースがいくつかの槽に分けられて、その希硫酸に極板が浸されていて、希硫酸と極板の反応により電気を蓄えます。
ですので、それなりな大きさになって、重いんです。
この基本構造は、現代のメンテナンスフリーと呼ばれるバッテリーでも、中身は一緒です。メーカーをまたいでも、基本構造は大同小異です。

じゃあ、液体の中に極板が沈んでいるわけですから、極板も劣化するし液体も気化して減る。永遠に使えるものではありません。(メンテナンスフリーのバッテリーでも気化したガスを排出する穴があります。気化する訳だから減るわけだ。開けたことないので確証はないですが。)

使用状況と、現品の状態で、所謂寿命は結果千差万別になってきます。
経験則ですが、毎日それ相応の距離をコンスタントに乗っているクルマは、コンスタントに充電と放電を繰り返すので、長持ちするような気がします。
逆に、たまにしか乗らない、乗っても夜だけ、短時間のみ、みたいな乗り方の場合は、寿命が短くなる場合があり得ます。

車は、駐車してある状態でも若干電気を消費します。時計やイモビライザー、キーレスエントリー、各種メモリー等のバックアップで消費される電流ですが、特にややこしい電装品のついていないクルマで、数十ミリアンペア以下とかその程度、ナビやらなんやら、色々いじってある車でも大抵100ミリアンペア以下くらい、だと思います。
(なにせミリアンペアな世界なので、正確に測るのが困難だったり、車側の状況によって変動しますので、あくまで目安ですけどね。えぇ、ボディコンピューターが色々やってる間は結構電気喰って、完全にスタンバイに入るまで数分かかる車もいますので。)

それくらいなら、バッテリーが元気なら、数週間は補充電しなくても充分保ちます。
(疑って掛かる方は、お使いのバッテリーの新品時のAhから割り算して計算してみてくださいな。で、その初期性能の半値八掛けが使い古したバッテリーのAhです。)

でも、使う一方ではいくら消費電流が抑えられていても、いつかは使い果たします。つけっぱなしで大丈夫な乾電池式懐中電灯はありませんので。数週間以上放置したら元気なバッテリーでも上がって然るべき、です。

幸いなことに車は内燃機関、燃料を焚いて動力を生み出すので、その動力を発電で少しだけ使って、オルタネーターで発電して充電すればばヨロシ。ですので、乗ればその分充電されるわけですが、エンジンがかかっている状態であれば常に充電しているかといえば、例えば夜中にヘッドライトつけてワイパー動かしてエアコン廻してしのごの、だと、発電している量とバッテリーが求める量とでつりあうかつりあわないか・・・大抵はなんとかなりますけどね、やっぱし昼間にガツっと走ってやることで、補充電を充分為し得たいところです。

でも、そういったことを留意しておいても、所詮湿式バッテリー、電池ですので、いつかは初期の性能を下回り、何度かバッテリー上がりを経ると、最終的はどう充電しても求められる性能を果たせなくなります。

だいたい、大雑把な当社比(?)で、厳格に品質管理されたバッテリーの初期性能を95%~100%とすると、量販店等で長期在庫されたものが80~90%位(ココでの相違に関しては改めて)。そこから使用開始、エンジン掛けて走って車側から充電されて、初期の数値+5くらいまで性能を復旧します。で、数年使うと、年間5~10%劣化していきます。で、50%を切るとセルモーターを廻せなくなります。そこで、ブースターケーブル(太いの推奨)で繋いで掛けたり、小洒落た充電器掛けたり、面妖な添加剤を用いたりすると、一時的に10~20%復旧します。でも、到底70~80%位に届くか?多分ムリ。経過年数が相応に長いものだと、60%まで復旧すれば御の字で、結果また程なく、数時間か数週間か、数か月か、で、50%を切ってセルモーターを廻せなくなります。
(勝手な見解なので、根拠は薄い経験則ですので、参考程度に留めてクダサイ。)

なので、総合すると、バッテリーは1~2回上げたら、もうあとはゾンビです。なんとなく生きててなんとなくセル廻してる程度、老い先長くありません。

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State-Of-Artバルスパルス充電器でも、延命に過ぎない気がするんですよねぇ・・・あくまで一時凌ぎに過ぎない、遅かれ早かれ・・・

なので、その場合は、おとなしく換えましょう。というか、バッテリーが上がることでセルモーターも回らずエンジンも掛けられないので、非常に困る。それを避けるためには、1回完璧に上がったら換えた方が確実、数年使ったら念のため換えておいた方が確実、です。
マニュアル車で、その場合自分で押し掛けするからいいです、と仰られるなら、止めませんが、へたったバッテリーをヒツコク使うと、後述の爆発とか、そのまたあとのオルタネーターのトラブルに至ることもありますので、At Your Own Riskで臨んでください。

さてさて、経験則ですが、バッテリー上がりは外気温が急激に変化した頃に起こることが多い気がします。寒くなり出したとき、暖かくなり出したときに息絶える、みたいな。
実際消耗しきったバッテリーを騙し騙し持たせていたりすると、電解液(希硫酸)が極端に減ってきたりします。減ったら足せばよいのですが、メンテナンスフリーのバッテリーはそういった補水すらできない構造になっていたりする。
電解液から極板が露出した状態で使い続けると、気化した水素ガスに電気の火花が引火して、爆発することもあります。

なんか生き物くさい挙動、ですけども。(笑)
ワタシ的にはバッテリーは生き物で生もの、と踏んでますけども。

また得てして、上述で、パーセンテージで例えたように、バッテリーは非常に個体差があります。新品だから全てのバッテリーが完璧、とも言い難い面が少なからず。概ねの性能を満たしていればそれでOK、な面は否めません。

これは構造上殆どの湿式バッテリーが”大差ない”ので、例えば高価なものとか国産だったらなら安心、とも言い切れません。逆に、安価なものでも、充分その性能を為し得てるモノもあります。改めてみてみたらどっちもアジア製、だったりもします。
(ほんとだったら、昔ながらの補水できるタイプの方が、維持管理するにあたっては様子を窺いやすいので、ある意味イイのですが・・・時代には逆らえません。)

ですので、私共では、特に指定がなければ、割と安価に入手できる、知名度のあまりないメーカーのバッテリーを使っていいます。だって、有名メーカーのものより安価に入手できるし、結果、経験則でもそのバッテリーがイカンくてどうこう、ってのも実際殆どないものですから。
現在は、ソノ手のと大きな価格差のないAC Delco社製バッテリーをお薦めしております。値段に大差がないならその方がいいかと。

また、最近、鉛価格の高騰からか、バッテリー値上がりしてますからねぇ・・・
(最近落ち着きましたね。)

どうせ同じ機能なら、安いに越したこと無いけど、得体の知れないのは避けたい、を踏まえて上での経験則でバッテリー選びしてます。

もちろん、ご要望にあわせて、高性能と言われるODYSSEY 等、乾式バッテリーへの換装も承ります。が、それはお好みの世界です。

ですが、上述の通り、概ねの機能がバランスよく動作して、車は走る、ので、バッテリー換えただけで済む場合が殆どですが、時折待機電流が極端に多い車がいたり、オルタネーター・オルタネーター内のレクチファイヤー、レギュレーターの不良によりちゃんと充電してない場合もあり得ます。ので、バッテリー上がりを甘く見てもイカン場合もあります。

へたったバッテリーを使い続けていると、レクチファイヤー、レギュレーターに負担をかけます。極論で言えば、バッテリーがもっとよこせと言っていたら、供給する側ががんばっても限界がありますし、いつかは疲弊します。また、それらも長期的に見れば消耗品です。回る軸に触るブラシという部分は回るたびに摩耗していきます。軸のベアリングも永遠に使えるものではありません。

最近のクルマは、オルタネーターがレクチファイヤー、レギュレーターにブラシを含んでいて、部分的交換が容易でない場合もあります。また、レギュレーターのみ換えても次はレクチファイヤー、果ては軸のベアリング、と順番にイかれてくる場合も少なからず、それ各々換えてるとその部分部分でのコストと全部換えたときのコストで釣り合わなくなりますので、換えるなら一気に換えた方が確実です。オーバーホール品もそういったことを考慮してない安価なモノは、結果堂々巡りになることも決して少なくありません。その場凌ぎなら止めませんが、堂々巡りのお世話もおつきあいしますが、その分、割に合わないことになる可能性があることをご了承の上、ご自身の判断で勝負にお臨み下さい。

でも、勝負に負けると動かなくなるのがクルマ、動かなくなると押しても引いてもなんともならんのがクルマ、なので、本職のアドバイスをあんまし疑って掛かられても困ります。 どうしてもと言うなら、やっぱしAt Your Own Riskで。

本職は、もう引導与えられたバッテリーに充電機かけて、社用車に使ってみたりして上がっただ保っただ何日保ったとか、沸々とケーススタディーに励んでますので。その経験則で各社に臨むんです。別に漠然と換えてる訳じゃない。
だから店頭によく充電器つけたママのバッテリーが居るんです。
(社用車のバッテリーを買うお金がナイという話もありますが。(笑))

まぁそれを、皆様に強いる気もないので、ご自身の責任に於いてやってクダサイね。私はメンドクサガリやというか、手を施したらその分お金貰わないとイカン職務、なので、一発でコト済ませないと双方赤字になるので、最短距離をお勧めするだけですので。

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