【CROSS TALK】並行輸入車 現地で買って日本に持ってきて公道を走れるようにするまでにしているいくつかのこと(前編)

(某月某日/RENO店頭にて)

Morita(以下、M)/すずきさん、先月サンデロの話をしましたけど、あの中に「ガス検」って言葉、出てきたじゃないですか?

Suzuki(以下、S)/うん、正式には「自動車排出ガス試験(以下、ガス検)」って言うんだけどね。

M/このガス検って言葉は知ってるけど、いったい何をしてるんですか?

S/なるほど。そういうことね。じゃあ、ガス検だけってのもアレだから、クルマを現地で買ってから、日本に持ってくるまでに何をしなきゃいけないか、その辺の話でもしようか。

M/あ、いいですね。お願いします。

S/記憶違い、あいまいな点もあるかと思うけど、そのあたりは大目に見てね。

 

 

1 クルマの仕入れ(新車の場合)

「何の経験も実績もない人には、

クルマを売ってくれない」

 

S/そもそも並行車と一口に言っても、新車と中古車があるので、まず新車の話からいこうか。新車は基本的にディーラーでしか売ってないので、現地のディーラーから仕入れる。付き合いのないディーラーの場合は、向こうのクルマ屋に頼んで「このクルマ、欲しいから確保しておいて」とお願いすることもある。クルマによっては卸価格が設定されているものがあったり、免税になるものもあったり。

M/あ、免税されることもある?

S/輸出しちゃうからね。日本でいう消費税にあたるものが免税になることもある。でも、かならず免税されるとも限らない。国によっても違うし、ディーラーによっても違う。

M/そうなんですね。

S/フランスとかは、新車の輸出ってあまり歓迎してないみたいなんだけど、免税して出してくれる国もある。いったん納税してから後日還付しますっていう場合もあるみたい。

M/すずきさんとこってベルギーから仕入れること多いじゃないですか? ベルギーは並行輸入がしやすいんです?

S/ベルギーって、自国に資源がないので加工貿易が盛んな国。いろんなものを輸入して加工して輸出するというサイクルができあがってる。だからクルマを輸入して輸出することもごく普通なんだよね。

M/ああ、特別なことじゃないと。

S/そう。別に国外から来たものを輸出して何が悪いの? って感じ。

M/なるほど。

S/ただ、これまで7、8台は自分でやったことはあるけど、そこにかかるコストや時間を考えれば、専門業者に頼んだ方が結果的に安上がりになるから、彼らに任せてるけどね。

M/まぁ、でも信用がないと向こうのディーラーさんもクルマ屋さんも動いてくれないですよね。

S/それはもちろん。現地に住んでいない何の経験も実績もない日本人がいきなり向こうのディーラーに「クルマ売ってください」って言ってもたぶん売ってくれないよ。たとえ売ってくれたとしてもその後、どうやって船に積んで……とかそういう知識がないと無理だと思うなぁ。

 

2 クルマの仕入れ(中古車の場合)

「日本に来るだけでもありがたい」というくらいの

気持ちで買わないと

 

S/新車の場合は向こうのディーラーが相手なのでまだいいけど、これが中古車になると話は違ってくる。

M/ほうほう。

S/向こうって日本と違って中古車屋というのが少ないんだよね。

M/え、じゃあ、中古車を買うときどうしてるんです?

S/個人売買が多いね。そういう雑誌とかウェブサイトとかもたくさんあるので。

M/ということは、中古車を並行輸入しようとする場合、相手は個人になるんですか?

S/その場合が多いね。

M/えー、それ、こわいですねぇ。

S/そう。だから難しい。リスクを避けるために現地の信用できるクルマ屋さんに連絡して「このクルマ欲しいんだけど」ってお願いする。もちろん、いくらか手数料も払わないといけない。それでもスムーズにいくとは限らないけどね。

M/中古車の場合、値段は?

S/前のオーナーは税込みで買ってるはずなので、価格はすべて税込み。業者が介在しても基本的に免税や税還付はないと思った方がいい。なので消費税分、高くなることが多いね。

M/そうですよね。それにそのクルマの情報も写真と文章だけだろうし、現地のクルマ屋さんに見に行ってくれってお願いするわけにもいかない。

S/絶対買うなら行ってくれるかもしれないけど、買わないかもしれないのにわざわざ行かないよね。

M/そうですよねぇ。

S/だから「日本に来るだけでもありがたい」というくらいの気持ちで買わないと。何が起こっても何とかするっていう覚悟がないといかんよね。

 

3 クルマの輸送

「海賊が出るので、様子見のために遅れますとか」

 

M/現地でクルマを手配できたら、次は港まで運ばないといけないですね。

S/そうだね。うちがやったドッケールのうちの1台はとんでもないところにあったから、そうなると港までの輸送費もバカにならない。

M/どこにあったんですか?

S/ドイツの山奥。限りなくチェコに近いところ。そこからいったんベルギーにもってこないといけない。そのためにだいぶお金がかかったね。さすがにクルマが港につかないってことはないけど、お金と時間は読めない。

M/そうですね。それは覚悟しないといけないですね。

S/で、輸出のための通関をして、船に乗せるわけなんだけど、現地から輸出する際はクルマに何が載っていてもおおむね不問なんだけど、日本に来て税関を通るとき、車載品に関税対象のものや輸入禁止物品があったりするとややこしくなる。欧州一部の国で標準化されてる消火器とか輸入するとなると、どえらいややこしいことになるね。

M/そういうこともあるんですね。

S/で、船の場合はだいたい1ヶ月半。まぁ、これはディーラー車も同じように船に載せるので、条件は同じだね。もちろん飛行機に積むことも可能です。

M/飛行機だとだいぶ違います?

S/早い、けど高い! 当たり前か(笑)。ベルギーのザベンタム空港からセントレアまで150万円くらいだったかな。でも、飛行機に載ったら日本まで12時間くらいで到着するよ。現地の空港にクルマがついて、そこから通関して、飛行機積んで、日本の空港について、また通関してとか諸々やって3、4日くらいで引き取れるかな。だから一刻を争う場合、港に長時間置いておけない希少車、超高級車なんかはお金のことを言ってる場合じゃないもんね。盗まれちゃう可能性もあるから。

M/ああ、なるほど。

S/船便には「RORO」と呼ばれるものと「コンテナ」と呼ばれるものの2種類があるんだけど、

M/ロロ? ってなんです?

S/ROROは「Roll on Roll off」の略で、自走で乗って自走で降りる、いわゆるフェリーみたいな感じのやつ。なのでROROはそんなに高くない。コンテナは箱の中に入れて密閉するので、安全なんだけど、動かすたびに手数料が発生する場合もある。

M/えー、そういう料金システム?

S/一概には言えないけどね。都合でこっちに動かしますよ、はい、いくら。通関しますよ、はい、いくら、みたいに徴収されることもあるみたいよ。

M/いち動作いくら、な感じなんですね。

S/そう。どんどん加算されていくから、できれば避けたい。なかには港に置いておくだけでも別途費用がかかる場合もあるみたい。豊橋港はあんまり言われたことないけどね。

M/想像しただけで怖い……。

S/で、ROROは豊橋港、コンテナだと名古屋港につく。たまーにだけど、横浜港についちゃったって話もある。まぁ、でもおおむねそんな感じだね。

M/なるほど。そういうこともありますよね。船だと天候によって遅れる場合もあるし。

S/むかしあったのは、途中、インドで降ろすクルマを船のいちばん奥に積んじゃったってのがあった。全部クルマ降ろさないといけないので、数日遅れますとか。海賊が出るので、様子見のために遅れますとか。湾岸戦争の影響で遠回りしますってのもあったなぁ。

M/えー、そんなのもあるんですね。

S/だから、僕は「何日に港つきますか?」って聞かないようにしてる(笑)。

M/並行車はそういった予期しないことも許容できる気持ちで臨まないといかんですね。

 

4 通関手続き(日本着)

「ちゃんとクルマも見るよ。

だって何でも隠せちゃうじゃん」

 

自動車通関証明書M/港に船がついたら、通関手続きをするわけですが、この通関手続きって、書類だけのやり取りなんですか?

S/ちゃんとクルマも見るよ。

M/あ、そうなんですね。

S/だって、何でも隠せちゃうじゃん。

M/あ……、そうか。

S/X線の検査とかもやってる。名古屋港はX線検査用のレーンがあって、入口にクルマを置くと、洗車機みたいなのがクルマを通過していくんだよね。当事者はそれを一緒に歩いていって、何か見つかるシャットアウトするみたい。現場は見たことないけど。豊橋港には移動式のX線車があったような気がする。

M/へぇ!

S/その不審なものが何かが判明するまで、出してくれないみたいよ。まぁ、でも通関も業者がやるので、僕らはまぁ、そんなにね。

M/そういうことですね。

S/で、書類と照らし合わせて、こういうクルマが税関を通りましたよ、と。そのときに輸入消費税を払う。現地の価格に応じてね。で、通関が済む予定を鑑みつつ、国内の陸送業者を手配するか、自走して店まで運ぶ。最初の1台(デモカー)とか、売れるあてのないクルマの場合は、時間に余裕があれば自走することもあるけど、基本的には陸送業者に頼むかなぁ。

 

5 ガス検・加速騒音試験

「自分でやってみたいんで、って言ったら

検査場の人にたぶん無理ですよって言われた。

実際無理だった(笑)」

 

M/クルマが来たら、いよいよガス検ですね。

S/そもそもガス検という制度が何で必要なのかを説明しないといかんね。ディーラー車の場合、取り扱うクルマは全部日本の法規制に合致していますよっていう型式認定を受けてたり、PHPっていう少数取扱のパターンなど、いろいろと種類があるんだけども、基本、メーカーもしくはインポーターが国交省に必要なものを提出してるので、たぶん排気ガス検査的なのは、10台ごととかではやってないんじゃないかな? 並行輸入車はそういう優遇措置から外れてるわけなんだけど、だからって登録を認めないわけにもいかないので、日本の排気ガス基準を独自に受けて合致していれば、登録を認めますよっていう制度になったわけ。

M/なるほど。

S/日本でガス検を受けられるところは、日本自動車輸送技術協会とか日本外国自動車輸入整備協同組合とか、そういう組織がいくつかあって、そこにクルマを預けて、所定の検査を受け、その数値が日本の基準に合致していれば、ガス検査証というのがもらえる。ちなみに通関証とガス検査証の名義は一緒じゃないといけない。

M/ほうほう。

S/ガス検っていうのは、1回取得すると同型のクルマ10台分に対して有効なんだよね。

M/要するに同型であれば、ガス検が免除されると。

自動車排出ガス試験結果成績表S/そう。組合員であれば20台までOK。たとえば、あるクルマを輸入したけど、Aさんはそのクルマのガス検持ってません。でも、Bさんが持っていたので、それを譲ってもらうことで解決したい、ということになったときは、通関前に現車をAさんからBさんにいったん譲渡して、通関証をBさんの名義にしておかないといけない。そうしないとガス検が使えないんだ。これを「通関前譲渡」って言います。ちなみに「通関後譲渡」は自由だけど、譲渡した後は通関証を書き換えられないので、ガス検は無効になる。

M/へぇ、そういう仕組みなんですね。ガス検って、実際の試験はどんな風にやるんですか? 排気管にセンサー突っ込んで測るみたいな、そんな感じです?

S/いや、そんな単純なものじゃない。僕も一回、自分で受けたけど、けっこう大変だよ。落ちたけど(笑)。

M/そうなんですね。

S/そのときは10モード・15モードの時代だったけど、クルマをシャシダイナモに乗せるとディスプレイに指定の回転数、速度が出て、それを何分続けなさいって指示が出るんだよね。で、その指示に従って自分でアクセルをコントロールするんだけど、慣れてないと絶対無理。

M/難しいんだ。

S/自分でやってみたいんで、って言ったら検査場の人にたぶん無理ですよって言われた。実際無理だった(笑)。

M/なるほど。で、その間に出た有害物質なんかを測定するわけですね。

S/そう。むかしは1日で終わったけど、いまは1泊2日くらいかかるらしいよ。

M/え、そんなにかかるんですか?

S/うん、エンジンが冷えた状態からしなきゃいけない試験もあるので、かなり時間はかかるみたいね。すべての項目をパスしなきゃいけないから、1個でも引っかかったらまた受け直さなきゃいけない。

M/えー、それは大変だ。

S/たしか2回まで落ちてもよかったのかな。再検査は無料だけど。

M/あ、いちおう猶予は与えられるんですね。

S/だけど、試験を受けた段階でこの数値がオーバーしてるって言われても、すぐに対応できるのか?

M/そうですよね。光軸をちょこちょこいじって合わせるみたいな話じゃないですもんね。再検査でお金がかからなくても、結局そのために費用が必要だろうし。

S/そう。だからああいうのはやっぱり専門の業者に任せたほうがいい。特にディーゼルはいかにPM(粒子状物質)を減らすかが肝なんで、やっぱり専門業者のテクニックがなきゃ無理だね。たぶんガス検業者は基準に合致させる独自のノウハウがあるんだろうね。どうやってるのか全然わかんないけど、たいてい何とかしてくれる。

M/ガス検の費用はどれくらいかかるんです?

S/ガソリン車で素直に受かって35~40万円くらい。もし落ちて再検査となれば、また別途費用がかかる。ディーゼルだと140~150万円くらい。

M/ディーゼルは恐ろしく高いですね。

S/試験項目がガソリンよりも多いんだろうね。

M/なるほど。それってさっきの専門業者にお願いする費用も含まれてます?

S/含まれてる。あと往復の陸送費とかもね。

M/そういうことですね。

S/新しいクルマほど何もしなくても受かりそうだけど、じつは違って、新しいクルマほど落ちる確率が高い。

M/え、そうなんですか?

S/直噴エンジンのやつとか、けっこう落ちる。僕の感覚的な話だけどね。

M/だからやっぱり専門業者に頼まないといかんのですね。

S/そうだね。

M/あと、ガス検のほかに加速騒音試験? っていうのもあるんですよね?

S/うん、これはEECの保安基準に適合してるクルマはおおむね同一と見なしてくれるので、受けなくてもいい。うちがやってるようなクルマはだいたいOKなのでほとんどやったことがないなぁ。むかしその範疇外にクルマをやったときは受けたけどね。

 

6 申請書類作成

「まだあるけど、説明いる?」、

「いや、もういいです(笑)」

 

M/ガス検受けた後は何をしますか?

S/ガス検査証を受け取ったら、陸運局に提出するための書類をつくる。ガス検の書類と一緒にこういうクルマですよ、と。日本の保安基準に合致した書類もあります、なので登録させてくださいっていう書類ね。それをつくって申請する。それがこれ。

M/えー、こんなにあるんですか!?

COCペーパーS/これはドッケールの書類。諸元、排気量、車体番号の様式、それがどこに打ってあるか。現物の石刷り(番号の刻印を紙などに写し取ったもの)もしくは写真も添付しなきゃいけない。日本の公道を走る上でこういうところを改善しましたよ、という書類。ボア/ストローク、ホイールのスペック、施錠装置、フロントのサスペンションがストラットだとか、イスはフロントがセパレートでリアがベンチで、ヘッドレストがいくつ付いていて、シートベルトもこういうのが付いてて、灯火類は何ワットで面積がこれだけで、スピードメーターが0から210km/hまであって、とか。まぁ、これらの書類には、そういうことが書かれてる。COCペーパー(Certificate Of Conformity:欧州の完成検査証。安全基準や保安基準に適合していることを証明する書類)も必要。もしない場合は現地の車検証の原本が必要になる。で、日本語訳も付けないといけない。マフラーについても、それが純正であることを証明しなきゃいけないので、刻印の写真が必要。でも、ダシアの場合、ダシアのマークがどこにも付いてないんで、この型番のものがダシアのものですよ、と証明するものも探して付けなきゃいけない。あと3面図、カタログ上のスペック、トランスミッションの製造年番、型式。

M/え、ミッションの型式も必要なんですか?

S/うん。ミッションの型式からギア比がいくつになってるかを出さなきゃいけないので。

M/げー、そこまで必要なんですか……。

S/まだあるけど、説明いる?

M/いや、もういいです(笑)。でも、こんなに膨大で煩雑な書類、陸運局の人はちゃんと見てるんですかね?

S/見てるよ。服務規程の厳格化が徹底された以降は、細かいツッコミもかならず来る。当然、印刷したのを入れ忘れたりしても、ちゃんと連絡くるよ。むかしは見なしOKが多かったけどねぇ。

M/へぇー、って当たり前か。

S/そういう細かいツッコミに対応するために、不備を是正し、その書類をまた提出して何とかOKもらわないといけない。

M/いやぁ、これは大変だわ。絶対に素人では無理ですね。

S/無理だろうねぇ。素人だと、きっとどうにもならない状況に陥っちゃうと思う。でも、僕らは経験則でこうすればOKもらえるってのが思いつくわけ。

M/クルマもそこにありますからね。登録できませんってわけにはいかない。

S/だから、僕の仕事が商売になるんだよね。いつもヘラヘラ笑って仕事してるように見えますが、いろんなことを水面下でやってるんですよ(笑)。

 

7 改善(灯火類、ナンバー枠)

「左右対称に点灯するのはOK。右だけもOK。

中心もOK。でも、左だけ点くのはダメ」

 

S/陸運局に出す書類でOKをもらうためには、日本の保安基準に合っていないものを改善する必要がある。その改善内容もちゃんと報告しないといけない。

M/具体的にはどんな改善をするんですか?

S/たとえば前後標板(ナンバープレート)を適切な位置に取り付けるとか、前照灯を左側通行用に変更とか、発煙筒を積んだりとか。

M/ふむふむ

S/この中でも特に問題になるのが灯火類だね。

M/リアフォグもですか?

S/そうだね。あと、ガッツミラーも。だいたいこんな感じかな。前照灯の件で言うと、むかしはけっこう大雑把だったんだよね。でもHIDやLEDが普及してきて、左側通行用に改善しないまま走られると、対向車が眩しくて仕方ない。なので、いまは厳しくなった。向こうのディーラーから仕入れる場合は現地で替えさせる、もしくは左側通行用のヘッドライトを積んでもらって、こっちで交換してる。問題は左側通行用のヘッドライトがないクルマ。

M/右ハンドル仕様がないクルマですね。ドッケールなんかまさにそうですよね。

S/だね。それは日本に来てからあれこれやって左側通行に対応させてる。

M/そこにテクニックがあるわけですね。

S/ドッケールはハロゲンだけど、売るときには全車LEDに変更してるのは、左側通行用に改善するためにLEDのほうがやりやすいから。

M/あ、そうなんですか。そういう理由もあるんですね。リアフォグはどんな感じでしたっけ?

S/何年からそういう基準になったのかは定かではないんだけど、左右対称に点灯するのはOK。右だけもOK。中心もOK。でも、左だけ点くのはダメ。

M/な、なんでだ?

S/わかんない。でも、バックランプは左右どっちが点いてもいいし、左右対称でもいい(笑)。

M/なんだ、それ。よくわからんですね。

S/そう、よくわかんないけど、照らす範囲や方向には規定がある。上向きに照らしちゃダメとかね。まぁ、とにかくリアフォグは左だけ点くのが禁止なので、これもあれこれやって適合するように改善ですね。

M/標板枠はどうですか?

ルノーのディーラー車はこのような傾斜したナンバー枠が付いていることが多いS/ナンバー枠はディーラー車がある場合で、それを使ったほうが収まりがいい場合はそれを使う。ドッケール、ルノー全車種のフロントは純正品を使ってる。リアは、まぁ、これは好みなんだけど、僕、出っ張るのが嫌いなんですよ。しかもルノーのって、妙に傾斜が付いていて、出っ張ってるのが多いんだよね。あれがイヤなんで汎用品のを買ってきて付けてる。

M/わざわざ(笑)。

S/あ、いちおう補足しておくけど、ルノーのナンバー枠が傾斜してるのは、日本の法律をちゃんと解釈するとああいう風になるってことだからね。

M/どういうことです?

S/ナンバー灯が照らす範囲ってちゃんと決められてて、それを守るためにああいう傾斜が付いてるんだと思う。並行輸入車はそういう部分は見なしOKになってるから、ぺったんこに付けても別に法的に違反してるわけじゃない。

M/じゃあ、安心ですね。

S/あとルノーのナンバー枠ってじつは3、4種類しかない。確認したことないけど。

M/車種ごとに設定してあるわけじゃないんだ?

S/そう。だから汎用性を持たせてるので、ああいう仕様になってるという見解もできるね。ルノーのは全体的に適正と思われる位置よりも下につくのが少なからずある。カングー2とかはナンバー照射灯とナンバーの間に妙な隙間が空くんだよね。で、さらに傾斜してるからなんか不思議な見た目になる。まぁ、これは並行屋しか気にしないと思うけど。

 

【後編】に続く……

 

TEXT&PHOTO/Morita Eiichi

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