【EVENT REPORT】MiraFiori (後編)

M:フェラーリの458イタリアです。
S:僕の理解の範疇を超えてるクルマです。高そう。
N:かっこいいですよね。
S:うーん、計算機でいうと桁オーバーで「E(エラー)」になった感じ。
N:だってフェラーリですよ。ずっと見ていたい気分になります。
S:僕のなかでは美術品とか工芸品の域。だから誤解されるかもしれないけど、クルマじゃなくていい。
N:でもスーパーカーの中ではフェラーリやランボルギーニってまともなほうだと思う。もっとすごいの、いるもん。
S:308GTBとか、むかし鈑金で預かったことあるけど、あれはまだお付き合いいただけそうな気がしたんだけどなぁ。

M:これ、駐車場にいたんですけどね。500じゃなくてチンクエチェント。しかも「トロフェオ」。
S:これ、本物かな? 本物は爆音くんだって噂だからたぶんレプリカだろうね。出た当時は903ccのエンジンをカリカリにいじったラリー車両をつくってイタリア国内のワンメイクラリーに出てた。で、それに出てたクルマが日本にも1台か2台かいるらしいけどね。903ccのチンクエチェントは国内に10台くらい輸入されているみたいだけど、いまはどれくらい残ってるだろうね。日本では1100ccのほうが乗りやすいとは思うけど、903ccってのもワクワクするね。
↑記事作成後、ある方から「本物ですよー」とのご指摘をいただきました。のでレプリカではないことをここに訂正いたします。このクルマのオーナーさま、失礼いたしました。

M:アルファのGTです。
S:イタリアのクーペってしばりでいくと、僕はクーペ・フィアットのほうがかっこいいと思うなぁ。
N:そうかなぁ。僕はこっちのほうが好きですよ。
S:そもそもアルファ独特のアクってあるよね。あれがどうも肌に合わないのかも。
N:僕は同じようにフィアット独特の感じが好きじゃない(笑)。これ、フロントは常識的なデザインなんだけど、リアのテールまわりとか一瞬「なんだこれ」と思える感じがまたいいんだよね。
M:うんうん
N:運転席から熟女が下りてきたら「わかっとるな、このおばちゃん」と思う。これが出たころ、ちょうどフランスにいたんだけど、ランボルギーニのレストアやってるところの奥さんがこれ乗ってて。かっこいいなぁ、と思ったんだよね。
S:全国のアルファロメオオーナーを敵に回したかもしれん。
N:いや、でもこれはアルファ好きな人でも賛否両論あると思うよ。

M:MITOです。
S:同じくコメントを避けます……(苦笑)。
N:え、かっこいいじゃないですか。アルファってよくクルマの名前に地名を付けますよね。水戸って地名がイタリアにもあるんだ、と(笑)。
S:僕の中ではアルファってどうも4枚ドアのセダン以上ってイメージがあって。155、156、164とかはいいんだけど、なんかハッチバックには違和感があるんだよな。
N:僕は小っちゃいアルファ、好きだけどなぁ。

 

M:VWビートルです。
S:これって、メキシコ製の?
N:たぶんそうでしょう。久しぶりに近くで見ました。イベント行ってもドイツ車ってあんまりないから。でもあらためて見ると親近感が湧くなぁ。
M:カルマンギアのオーナーだったもんね。
S:むかしヤナセがやってたときのビートル、ダッシュが鉄板だったころのね。あれにオーディオつけてって仕事をしたことがある。最初は「どうやってつけよう」と思ったんだけど、ちゃんとDINサイズの穴があいてんのね。あのときはちょっとワクワクしたなぁ。これ、楽しいかもって。
N:でも今となっては空冷エンジンも厳しいね。
S:まぁ、そうだけど2CVとかと同じ雰囲気でしょ。
M:たしかにねぇ。でも、あらためて見るとこのデザインはすごいなぁ。
N:うん、よく見るとプレスラインの走り方とか、なかなか凝ったつくりしてる。
S:うちらが分かんないって分類しちゃうクラシックカーのデザインを引き継いでるよね。
M:そうそう。そこから現代のクルマになっていく過渡期のデザインのような気がする。
S:悪くないよね。だから来てもらってもいい。ビートルでもタイプ2でも3でもカルマンギアでも。
M:ビートルに関する都市伝説ってありませんでした?「水色のビートルを1日に3台見ると幸せになれる」とか黄色いビートルはその逆で不幸になるとか。
S:田舎の人だったんで(笑)。まず見なかった。

M:プジョー206SW S16です。
N:なんか日本人らしからぬモディファイですね。ブラジルっぽい。
S:ああ、でもドイツ人もこういうの好きよ。
N:206SWって他にいなかったような気がしたけど、いいクルマだよ。
S:うん、いいと思う。2リッターのMTとかいいなぁ。
N:シビック・シャトルとかカリブなニュアンス。
S:そうそう、手ごろなサイズでありながら荷物も割と載るし。実際、新車でそこそこ売れたしね。
M:S16は少なかった?
N:いや、それなりにいたと思う。
S:まぁ、1.6のATがほとんどだったと思うけどね。
N:これ、ガラスハッチでガラスだけ開けられるんですよね。すごい便利。

M:206CCです。
N:206CCは黒が似合いますよね。黒好きだなぁ。
S:僕は薄緑色の、マオリグリーンが好きだな。シルバーはいっぱい見たからもういい。
M:この手のサイズのオープンって閉めるとおかしな形になるのが多いけど、これはそんな感じもしないし、デザイン的にまとまってる。
S:2000年くらいかな。2リッターの左ハンドルマニュアルが並行でワーっと入ったんだよね。で、あったらおもしろいなぁ、と思って中古で買ったんだけど、ついぞ売れなくて頭を抱えた思い出がある……。
N:めちゃくちゃ台数出てますからね。
S:そうなんだよね。左マニュアルで乗れておもしろいじゃんって思っても、206CC自体がそこらにいるからね。ヘンなもの好きのうちらがワクワクしなくちゃった。
N:メジャーなクルマですよ、もはや。
S:ウィンドもそうだけど、お手軽に屋根を開けられるクルマってのはいいよね。またどっかで2リッターマニュアルがあったら買っちゃうかもしれんな。
M:初期の頃にそんなに並行で入ったのはなんで?
S:ディーラー車が間に合わなかったんよ。バックオーダーが1年近くって話だったから。
M:へぇ、そうだったんですか?
N:もう大人気だったからね。
S:で、並行なら半年くらいで手に入るから調子こいて受注してたら、そっちもバックオーダー抱えることになっちゃって。えらいことだったよ。
N:週末に行われる「大商談会」みたいなイベントで、ディーラーの営業マンが「じゃ、屋根開けますよ」ってなると黒山の人だかりができたもんね。

M:406スポールです。
N:前期型のD8ですね。映画『TAXi』の最初のヤツです。やっぱ前期のほうがプジョーらしいなぁ。
S:これ、スポールって名前じゃないほうがいいと思うんだけど。STとか。
N:STって標準グレードにありますよ。
S:あ、そっか。じゃ、XSiとか。スポールっていうと過度な期待をしちゃうんだよね。
M:405のときはMi16でしたもんね。
N:たしかにスポールはちょっと言い過ぎかもしれないけど、他のがATしかない中で唯一のマニュアルですからね。それでスポールにしたかったんじゃないですか。
S:あったら欲しいね。
N:あ、そういえば前期のスポールは並行ですよ。
M:並行なんだ?
N:そう。後期はディーラー車があるけど、前期はないから。後期でもスポールが出たのはかなり後だったと思う。排気量は2リッター。後期のスポールは2.2リッターです。
M:へー、そうなんだ。
N:しかも、これ、よく見たらド初期モノだ。
M:どこが違うの?
N:ミラーの首が細いんですよ。
M:こまかっ!
N:このミラー、よく壊れるんですよね。

M:フィアット124スパイダーです。
N:これクルマによっては車検証が「ピニンファリナ」になってるのがあるんだよね。
S:へぇ、実際にピニンがつくってたんだろうね。
N:当時はぜんぜん興味がなかったんで「ふうん」で済ませてたけど。
S:ほら、あの頃ってフィアットのX1/9が途中から生産止めてベルトーネに移って「ベルトーネX1/9」って名前になったよね。あれと同じ感じじゃないの?
M:ああ、なるほど。
S:生産自体をピニンがやってたんだよ。
N:306カブリオレもそうですもんね。こういう幌開けると真っ平になるカブリオレ、僕は好きだな。
M:これ、真後ろから見ると、両側の肩が上がってるんだよね。これがまたかっこいい。
S:そうそう。505の顔みたいにね。

M:新しい500です。
S:もうちょっと安ければねぇ。
N:たしかに値段はあれですけど。
S:これってちまたで話題のツインエアってやつ?
N:いや、これは違いますね。だって、いまこのサイズのクルマって他にあんまりいないでしょ?
S:たしかにないかもしれないけど、安ければなぁ、とそれに尽きる。フィアットって価格整合性がほんとわかんなくなっちゃってるんだよね。
N:これはヨーロッパにおいても若い人が買うクルマじゃないんですよ、きっと。
S:そうなの?
:「オレが若い頃にチンクエ乗っててさ」っていう人が買うんじゃないかな。リバイバル的な感じで。
S:まぁ、それは僕の言う「二毛作」の一環なんで。ビートルしかり、ミニしかり。
N:サイズからして僕はいいなぁ、とは思うんだけどね。
M:で、さらに高いのがこれですよね。トリビュート・フェラーリ。スズキさんさらに怒るかもしれないけど、400万円くらいします。
N:この206GTみたいなバンパーがすごい。
S:目がシバシバしてきた……。でもこうやってみるとこのボンネット、ちょっとかっこいいな。
N:最近、はやりですよね。フェンダーから立ち上がってるボンネットって。

M:珍しいのもいましたね。フィアット850。この辺のは60年代のクルマなんで、僕の感覚ではクラシックカーに近いです。
S:たしかにね。850スパイダーだったら、さらにいい。クーペもセダンも好きだけどね。
N:リーザ・スパイダーみたいな?
S:いやいや、これの屋根切ったわけじゃないから。まったくボディ違うから。
N:あ、違うんだ。
S:前にいた会社の工場長が850スパイダー乗っててかっこいいなぁ、と思った。903cc OHVでしかもRRってワクワクするでしょ。
N:こういう何でもない素のクルマをきれいに乗っている人ってすごいなぁ、と思う。
M:そうだね。
N:きっとこの魅力は本人しかわかんないんだろうなぁ、と思うよ。

M:フォーカスRSです。
N:限りなくランエボ的な要素を含んでますよね。
M:ランエボと違うのはFFであること。FFで305馬力ですからね。
S:このパフォーマンスのまま、羽根とかエアロなしで乗ってみたい。
N:まぁ、でもこれだからいいんじゃないですか? ランエボより好き。3ドアだし。
M:えらいデカく感じたなぁ。
N:うん、デカい。テールランプなんて上向いてるし。
M:ホイールは、これ18インチくらいですか?
S:そんなもんだろうね。
N:フェンダーの後に穴開けるの、はやりなんですかね。ルテ3RSにも空いてますよね。

M:ポルシェ924です。
N:けっこう好き。
S:僕も割と好き。928はちょっとだけど、944とか924は好きだなぁ。924の後継である968とか、FRクーペってけっこういいんだよね。
N:いまのポルシェも4ドアとか作ってないで、こういうの作ればいいのにね。
S:そうだね。スポーツカーメーカーであってほしかった。

M:駐車場にいたクルマ。ラーダ・ニーバです。
S:じつはちょっとホスィ。ちょっとおもしろそうだもん。乗ったことも触ったこともないので何とも言えんけど。
N:そうだね。これってパンダみたいにエンジンルームにスペアタイヤが入ってるんだよね。
S:割と本気な4駆なんだろうね。
N:ロシアは道路網が完全に整備されていないから、こういうクルマがロングセラーとして売れつづけるんでしょうね。だからガチな4駆ですよ。
S:スキー場でもスタックしない本気4駆。
N:車重も軽いし。

M:これも駐車場にいました。ルーテシア16V
S:僕の中では不朽の名作。
M:ですね。僕もそう思う。
S:すげーいいクルマだと思うよ。このクルマのオーナーさんはうちのお客さんなんだけど、新車からのワンオーナーですよ。
M:一回乗っちゃうと長いんですよね。
S:それに濃い人が多い。
N:これに乗った後に乗るクルマって、あんまり見当たらないんですよね。
S:ルテ3の1.6マニュアルってのもちょっと違うし。
N:ちょっと高級車みたいな感じになっちゃう。
S:ギリギリ1トンだし、120馬力だけどけっこう走るし、リアドラムのくせにすげー止まるし。何をこれ以上求めますか?って感じ。金色だし(笑)。
M:16Vって金色しかみたことないんですよね。
S:青メタとシルバーと金色の3種類くらいしか色がなかった。
N:でもその中からわざわざ金色を選ぶかなぁ。青メタかシルバーでいいんじゃないの?
S:でもうちの顧客リストみると高い確率で金色だよ。しかも全員濃いし。ま、ともあれ「普及しなかった不朽の名作」です。

――翌日の反省会。

S:というわけで、お疲れさまでした。いやぁ、今回は最初からあきらめモードだったよね。
N:ダメじゃんって感じで。
S:ダメじゃん度合いはFTPを上回るものがあったよ。
N:風がねぇ。風がひどかった。
S:も、もういいやって感じ(笑)。
N:僕は主催者さんが誰かから怒られるんじゃないか、と勝手に心配してた(笑)。
S:誰かからとうとうと説教されそうな。まぁ、でも主催者さんが「やる!」というならうちらは着いていくだけで。やると言っているのにひどい天候だからうちらだけ「やーめた」はしちゃいかんと。とくにさぁ、あの○○○○○ー○と○○○ー○は、(検閲により伏字)
M:まぁ、いろいろと言いたいことはあると思うんですが、来年もぜひやってほしいですね。このへんの地域でひさびさに開催された欧州車のイベントなんで。天気さえよければ、今回よりもたくさんのクルマが参加されるでしょうから。あ、公式には270台だったそうですよ。
N:なんか話によると年2回開催する構想があるらしいよ。
S:よし、じゃ次も防水仕様のUNOで遊ぶか。
N:そんなこと言ってるとまた雨降りますよ。

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